カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した女優たち

メランコリア

監督が異例の事態に

キルスティン・ダンストが主演し、カンヌ国際映画祭で作品内での演技が高く評価されて女優賞をもたらした作品である『メランコリア』。今作については何かと物議をかもしていた。

まずは監督について、今作を構成するにあたってうつ病患者のためのセラピー講義に参加した時にこの作品の内容を思いついたという。メランコリアとはうつ病とタイトルのままで、主演を勤めているキルスティンは重度の鬱病を患っている女性という難しい役どころだ。本物のうつ病患者ならまともに演技ができる状態ではないので、そうだと思わせるだけの気迫と根性を見せていただけに、大したものだといえます。もしかしたら本人もかつては、なんて可能性も無きにしもあらずですが、情報がないので割愛する。そんなこんなで完成したメランコリアでしたが、監督のラース・フォン・トリアーが映画祭で開かされた記者会見にて、発言してはならないことを言ってしまったことで問題視されてしまったのです。

結果、事務局はこの事態を重く見て彼を追放してしまったのだ。ただ追放されたのは監督だけで、映画作品そのものはそのまま出展されたので、キルスティン・ダンストは無事に女優賞を勝ち得たという。監督の不祥事はあっても作品に罪はないといったところか。製作者と作品の関係こそあっても、その全てを否定されない辺りがいいところか。犯罪者を出しているわけではないので、考えようによっては問題ないのかもしれません。

さて、公開された後に何かと物議を醸したメランコリアですが、作品の内容はどのようなものなのでしょうか。

作品概要

メランコリアという映画は少し代わった二部構成となっており、主役はキルスティン・ダンストですが一部では彼女演じるジャスティンでの視点で物語が描かれ、二部ではジャスティンの姉であるクレア視点で展開していくというものだ。どこにSF要素があるのかというと、一部から兆候はありましたが、なんと物語の展開でいずれ地球に接近してくる惑星が衝突するという事態が巻き起こるのです。そんな展開、誰が予想できたかと言わんばかりの内容なのでまずは簡単にあらすじから見ていこう。

あらすじ

ジャスティンは結婚を控えていた。結婚相手であるマイケルとの新婚生活が待っていて期待に胸を躍らせているように見えたが、彼女の心は常に闇が巣食っていた。重度のうつ病を患いながら安定期にある彼女はそのこともあってノリ気でない結婚だったこともあり、不安を感じる。迎えた結婚パーティーの日、会場へ向かう際に乗っていたリムジンが溝にハマってしまい、予定より大幅に遅れてしまったがなんとか会場についてパーティーは始まった。姉のクレアもそのことを祝福するが、彼女たちの母がスピーチにて悪意ある発言をしたことから、場の雰囲気は一気に険悪なものへと変質してしまう。その状況にジャスティンの心は締め付けられていき、やがて安定していたはずのうつ病が発症して奇々怪々めいた行動を起こしてしまう。それをきっかけにパーティーはもちろん、マイケルとの関係も破断してしまった。1人結婚式の会場を抜けて愛馬で草原をひた走るジャスティン、あてのない散歩でたどり着いた場所で不意に地面に寝転んで空を見上げてみる、するとそこにあるはずのさそり座の赤い星が見えなくなっていることに気づくのだった。

うつ病患者の心

主役を演じるキルスティン・ダンストもうつ病患者、それも重度というだけあって劇中で見せる一般人からは予測出来ない行動を連発しているので、よく研究されていると言える見事な演技を見せています。監督自身がうつ病だけあって、そうしたところもきちんと織り込んでの演出なのかもしれません。一見すれば幸せにいると思われるジャスティンですが、実際にはうつ病患者ならではの猜疑心にかられて常に心は不安定でした。結婚という人生の転換期であってもその心内を覆う厚い雲は晴れること無く、彼女を苦しめ続けていた。

そんな彼女の症状を悪化させたのが、他でもない母親だというから皮肉な話です。祝福してくれるはずの母が娘の幸せをぶち壊し、落ち着いていたはずの彼女を追い詰めて精神崩壊寸前にまで追い込んでしまった。彼女の起こした奇行に参列したお客も彼女の夫になるはずだったマイケルも失望を通り越して怒りすら湧いてしまう。それは姉のクレアであっても同じだった、ただ彼女の場合は妹だけでなく母に対しても同じように認識していた。結局のところ、クレアが一番の被害者であるのかもしれません。

ですがそれ以上に深刻な状態に追い込まれてしまうのが、ジャスティンとなっている。

一部では

ここまでの内容から、SFという要素はほとんど見られないため鑑賞していた人のほとんどがデマカセだったのかと疑問に思ったはず。しかし次の二部から事態は急変していくのです。そしてそこで描かれるクレアから見えるジャスティンの姿にも、思うところが出てくるのです。