カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した女優たち

キャロル

女性同士、禁断の愛

そんなルーニーさんがカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した作品が、2015年に公開された『キャロル』というものだ。日本でも今年2016年2月に公開とまだ最近の話になりますが、今作でルーニーさんは往年の大女優演じる、人妻と禁断の同性愛に走るという難役を演じています。ドラゴン・タトゥーの女でヒロインのリズベットを演じただけでも凄いですが、その次にLGBT要素を含んだ作品に出演し、今作で女優としてまた違った魅力を発揮していた。

同性愛にいくら寛容のある海外文化といえど、お嬢様である彼女の出自を考えると少し信じられないと言って良いかもしれません。ただ裏を返せば、子供が歩んでいる道に親が干渉していないという表れでもある、そこから見ればルーニーさんの両親が彼女の活躍を快く受け入れているとも考えられます。実際はどうか分かりませんが、主演作品として活躍している点から見ても、彼女の活躍を喜んでいるのは他ならぬ、父と母だとも言えるのではないか。

今作では話題作に何作も出演し、アカデミー賞はもちろん、ゴールデングローブ賞などでも主演・助演、またヴェネチア国際映画祭で女優賞を獲得した事がある『ケイト・ブランシェット』さんとの禁断すぎる愛を育む様子が描かれているので、非常に背徳的な内容となっています。ではそんなキャロルも簡単に内容を紹介していこう。

作品概要

今作の特徴はミステリアスな人妻とひょんなことからであった田舎出身の女性が、彼女の魅力に惹かれながら恋に落ちていく話です。同性愛、というとあれですけど、内容は実にプラトニックなものとなっているので、LGBT的な要素を重視するようなものではないと言える。女性が女性に憧れるように、男性が男性を尊敬するといった感情に近いからだ。作品を通してみると、ただ欲望に赴くがままというよりは魅入られたから恋に落ちた、という方が適切です。

ではこちらの作品も簡単にあらすじを紹介していこう。

あらすじ

世界大戦終了から数年後、ニューヨークにジャーナリストを志す一人の女性がやってきた。テレーズという名の彼女は、いつかニューヨーク・タイムズで働けるようにと、その下積みのためにデパートのおもちゃ売り場で一先ず生活出来るだけのアルバイトをして過ごす。何事も無く業務をこなしていた彼女の前に、おもちゃ売り場で子供のためと思われる人形を購入する妖艶な女性キャロルと出会った。今まで自分が見たこともない、ミステリアスな雰囲気をまとうキャロルにひと目で心奪われたテレーズは、彼女が忘れてしまった手袋をプレゼント購入時に確認した送付先の住所で知っていたので、手袋とメッセージ付きのカードを同封して送る。

返事は期待していなかったが、キャロルは現在、夫と泥沼の離婚劇真っ最中で疲弊していたこともあって、テレーズとの出会いは気分転換にもなって2人はたちまちすぐに会う約束を交わした。最初は友人として接していくテレーズにも、結婚を前提にしたリチャードという男性がいた。しかし彼とは違う魅力を持つキャロルと邂逅していくことで、彼女に対して言い知れぬ感情を抱いていった。この時既に、テレーズはキャロルという一人の女性に本気の恋をしていたのです。

キャロルもまんざらではなく、クリスマスにも関わらず子供を夫に連れて行かれたことで傷ついた心を癒やすためにテレーズを小旅行に誘った。それに応じたテレーズ、その旅先で遂にテレーズとキャロルは一線を越えて深い間柄になっていく。この時既に、2人の知らないところで運命の歯車が動いているとも知らずに。

言い知れぬ寂しさから

LGBT作品とはいうものの、原作を忠実に映像化された今作は場合によっては『ありえる展開』とも言えるでしょう。反対意見もあるでしょうが、キャロルの背景として離婚裁判の真っ最中で子供の親権を勝ち取れるかどうかという瀬戸際に立たされていた。自分がお腹を痛めて産んだ子供に逢えない、クリスマスというキリスト教にとって家族からすれば大事なイベントに一人寂しく、子どもと過ごせないというのは母親にしてみれば辛い話だ。

そんな傷心中のキャロルからすれば、テレーズとの出会いは救いだったといえる。逆にテレーズは自分とは違う、別世界の人間にも思えたキャロルから視線を離せずにいた。やり方はやや強引ではあるものの、邂逅しなければ気がすまなくなるほどにテレーズはキャロルに心奪われていたと思えば分からなくもない話です。

こうして2人が出会い、お互いにどこか寂しさを抱えた内情を吐露するように距離感を縮めていくことをただ差別的に罵倒できるだろうか。友情から始まる愛情もあり得れば、それらを否定する材料はどこにもないのです。

ケイト・ブランシェットではなく

カンヌ国際映画祭でケイト・ブランシェットさんは女優賞には得られなかったものの、アカデミー賞などにノミネートされたことで一段とその実力を高く注目されました。残念ながら受賞には至りませんでしたが、ルーニーさんと同じく難しい役をいとも軽々とこなしている辺りが大女優、という称号にふさわしい。

ルーニーさんもカンヌ国際映画祭で評価され、同様にアカデミー賞助演女優賞などにノミネートされたこともあって、2人の女優が今作に出演したことでより箔をつけたといえる。

カンヌ映画が観たい!